さて、今回の学会では私は以下の二件の発表を行いました。
- Alexopoulou, T. & Murakami, A. Incomplete acquisition of relativisors in L2 English. 要旨はこちら
- Murakami, A., Michel, M., Alexopoulou, T., & Muerers, D. Analyzing learner language in task contexts: A study case of linguistic complexity and accuracy in EFCAMDAT. 要旨はこちら
また、もう一方の発表も準備不足のまま会場入りしてしまい、学会初日と二日目に共同発表者と必死に打ち合わせ&スライド修正を行いました。最終的に自分たちの発表(やはり最終日でした)の20分ほど前までスライドをいじっていました。本発表では私は第一発表者であるにもかかわらず発表を担当しませんでした。それが功を奏してか、共同発表者の見事なプレゼンテーションにより、オーディエンスには好評であったようです。
本学会で私がとりわけ面白いと思ったのはAndrea Revez氏他による「L2 revision behaviors, written text quality, and working memory capacity: A mixed methods study」という発表です 4。ライティングのプロセスを視線追尾とキーストローク、それに刺激再生法を組み合わせて見ることにより、作文時の修正とワーキングメモリの関係を調べるという研究です。要旨はこちらにあります。
この研究もそうですが、今年のEUROSLAではeye-trackingを用いた研究が非常に多かった印象です。2012年頃のEUROSLAで、最近は処理を見る研究が増えているという旨を以前からEUROSLAに参加されている方に伺いましたが、その流れが更に加速しているのでしょうか。そういえば私の所属する学科でも視線追尾の新しい機器を導入したと聞きました。
ところで今回のEUROSLAは日本人の比率が以前よりも更に高かったように思います。「東アジア系の人を見かけると大体日本人」というような状況でした。この分野の日本人研究者の活躍は目覚ましいですね。
来年のEUROSLAは英国のレディングで開催されるようです。EUROSLAは2014年にも英国のヨークで開催されているので少し意外でした。来年はどこで何をしているのかまだわかりませんが、参加できるようであればまた参加したいと思います。
Notes:
- 当時の参加報告はこちら→2010年、2011年、2012年、2013年 ↩
- いま考えるとヘルシンキ‐ユバスキュラ間は電車で移動するべきで、実際多くの学会参加者がそうしていたのですが、何をどう思ったのか、本学会のための交通の手配をしていた時の私はヘルシンキ経由でタンペレまで飛ぶ便を取ってしまいました。ヘルシンキ-タンペレ間は僅か25分間のフライトでした。 ↩
- 「featural composition」「(featureの)underspecification」などの表現を私が学会発表中に使用することは今後はない気がします。 ↩
- 全くの余談ですが、この発表では実に91枚のスライドを20分間に詰め込んだそうです ↩